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「のぅ、お前様よ。 いつまで話し込んでお るのじゃ? 妾は腹が減ったのじゃが」
いよいよ吐き気を催してきたその時、店の方 からラプラスの催促する声が聞こえてきた。
おぉ、これぞまさに天の助け。 流石使い 魔、主の危機を救うとは。 絶対偶然だけ ど。
「お、おいレイド。 使い魔が腹空かせてる から早く買い物して帰りたいんだがっ!」
「なっ………………チッ」
俺がなるべく吐かないように嘔吐感から意識 を背けながらそう告げると、レイドはハッと して手を止め、次いで舌打ちして俺を放し た。 仮にも客に舌打ちするってどんな店主 だよテメェ。
「ったく……悪い悪い、久々に会ったからつ い話し込んじまって」
「むぅ……知己との関わりは大切じゃ が……」
ようやく揺れから解放された俺はさも自然を 装ってラプラスたちの所に戻る。
と言っても暇していたのはラプラスだけらし く、リリアとフィニアは店内の刀剣を始めと する武具を眺めてあれこれ言葉を交わしてい た。 フィニアは自分で言っていたけど、リ リアも武具好きなのか。 似たもん同士なん だな。
「ま、許せや。 さて、と。 俺の剣を探さ ねぇと……」
リリアたちの様子にそんな事を思いながらラ プラスをなだめ、俺は隅っこの方にある「安 売りコーナー」に向かう。
ここは所謂粗雑品を置いてあるコーナーで、 レイド自身売り物にならないと判断した物を ほぼタダ同然の値段で置いてあるのだ。
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