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あの震災の日……
私は最愛の家族を失った。
家族を失った私は、
その場に留まる理由もなくて、
辛いその場所から少しでも離れたくて、
住み慣れたその町を離れた。
県外の大学に推薦で進学の決まっていた私は、そのまま大学の近くで住み込みで働かせて貰いながら生活を始めた。
今も……
余震の度に震え続ける体を
必死に抱きしめながら
灯りの消すことが
出来ない部屋で
過ごし続ける。
大学と居酒屋での
バイトを終えて、
住ませて貰っている
自室へと戻ってきて、
家族の名前だけを記した
フレームの前で
手をあわせる。
「ただいま。
お父さん、お母さん、
お兄ちゃん」
ゆっくりと手をあわせて、
台所へと向かうと、
冷蔵庫から
お茶を取り出して
一気に喉に流し込んだ。
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