《序曲》

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一緒に診断結果を聞いていた彼は、それが自分とは関係の無い事の様に 「大丈夫?」 と顔を覗き込んで、「何か合ったら頼ってね…別れても香は俺にとって大切な人だから」 そう言い残して病室を出ていった。 あっけなく終わっていった四年の付き合いに呆然とする香は、残された病室でただ一人静かにすすり泣いた。 夜間の病室は涙と点滴の音を、響かせるには十分過ぎる静けさだった。
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