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「ねぇ、砂耶」
私は砂耶に聞いてみることにした。
「もし、私が砂耶に秘密にしてることがあったとしたら、砂耶はどんな気持ち?」
「そうだな、悲しいかな。だってあたし達小学五年からの付き合いだよ?七尾が、…七尾のことに気付けなかったあたしが悲しいかな」
砂耶-。
そんな風に思ってくれてたんだね。
ありがとう。
いつか、言うからね。
ひょっとしたらもう気付いているかもしれないけれど、いつか、私の口から言うから。
それまで待っててくれる?砂耶。
「砂耶、帰りにタコ焼き食べよっか。わたしの奢りで」
私が砂耶への感謝を秘めながら言うと、
「いいけど、明日古典と日本史のテストあるよ」
えっ?
私が驚いた顔で砂耶を見つめると砂耶はしてやったり顔で職員室で盗み聞きしたのだと言った。
「えー、砂耶ちゃん、それほんと?」
今の話を聞いていたのか、クラスの子達が話しかけて来た。
「あー、うん、そうらしいよ?」
砂耶は素っ気なく答える。
砂耶は頭もいいし、スタイルも抜群で、誰にでも物おじしない。
女子にも男子にも人気がある。
こんな私と一緒にいるより、もっと他の子と仲良くした方が砂耶のためになると思うんだ。
だから時々、私は砂耶と少し距離を置いてみる。
自分からは言ってあげられないからせめて、砂耶から離れてくれたら、そう、何度も思った。
だけど、その度に砂耶は私にとても優しくなるの。
私、砂耶に甘えてもいいのかな。
もう少しだけ、甘えててもいいかな。
いつか、秘密を砂耶に打ち明けられるようになったら、その時にいっぱい、いっぱいお返しするからね。
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