懐かしいアナタ

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「いやー、久しぶりだねえ」 ニコニコと笑う彼女は、オレの肩を叩いてそう言った。 後ろに結えるポニーテールが特徴の、比較的可愛い──らしい女の子(母情報)。一七○センチのオレより五センチほど低い身長。 この子は岡元春奈。オレの昔からの腐れ縁というか、なんというか、幼なじみだ。中学校は別々だったから、本当に久しぶりである。何が? 一緒に登校するのが、だ。 「小学校以来だからな」 桜が満開のこの季節。今日は二宮高校の入学式で、オレ達二人はそれに向かっている最中であった。 「ふむふむ、見ないうちに逞しくなりおって……」 「岡元のその変な口調は変わらねえのな」 「なにをぉー」なんて、オレに可愛い怒声をあげる岡元。少し、懐かしい感覚だった。
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