懐かしいアナタ

3/18
前へ
/132ページ
次へ
「たーちゃんは何か部活に入るの?」 「ん、ああ」 そんなの、決まってる。決まっているとも。 ──柔道部だ。 あの、人を投げる快感。自分より重い奴、大きい奴、強い奴を畳に投げつける爽快感。何よりも、一人で闘うってのがいい。 「ま、どーせ、たーちゃんは柔道部だろうけどね」 「たーちゃんはやめてくれ。オレには五十嵐拓斗って名前があるんだから」 そう言うと岡元はふて腐れて「えー」と洩らす。 「これからは苗字で呼べよ? わかったな?」 「へーい……」 高校生にもなって、たーちゃんは恥ずかしい。学校で呼ばれたら絶対笑い者にされるはずだ。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加