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太陽が沈み、月が顔を出す頃。
窓辺に腰掛けながら外の景色を見れば、ネオンの輝きに吸い寄せられる様に人々が行き交う。
膝の上で丸まっている白い猫を撫でると、"チリン"と首輪に付いていた鈴が鳴った。
『おい。あれ、月影廊の桜華じゃないか?』
『本当だ。いい女だよなぁ…』
ふと、声のする方へ目をやると、この街へ遊びに来たのであろう男達と目が合った。
『えっ………。』
『あ……。』
目が合うと思わなかったのだろう。男達は、私を見上げながらポカンとした顔で固まっている。
その様子が可笑しくて、少し笑みを浮かべると、男達の顔は面白いくらいに赤くなった。
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