~華~

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"月影廊"と言えば、この街に出入りした事がある者なら、誰でも一度は耳にした事がある名だろう。 働いている娼婦も、金額も、なにもかも全てがこの街一番だと。 私は、月影廊で一番の娼婦だ。 その、一番の娼婦である桜華を偶然にも見る事ができた男達は、 『今、俺に笑いかけたぞ!』 『違う!俺だって!』 と、間抜けな顔で言い合いをしている。 その様子を見た桜華は、また笑顔を見せる。 『ほら、また笑った!』 『違うだろ!俺だって!………まぁ、どっちにしても顔が拝めただけで"夢"みたいだよ。』 ……"夢"か…。 私は、心の奥にあるチクリと痛む場所に気付かないフリをして、ネオン輝く夜空を見上げた…。 .
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