華蝶風月～ｶﾁｮｳﾌｳｹﾞﾂ～

～華～

"チリン"

外の景色をぼんやり眺めていると、膝の上で気持ち良さそうにノドを鳴らしていた猫がドアの方へと歩き出した。

それと同時にドアから、ノックをする音が聞こえた。

『桜華姉さん、失礼します。』

可愛らしい声と共に、ドアから小さい女の子が顔を出した。

猫が尻尾をピンと立てながら、女の子の足元に擦り寄ると、女の子は猫の頭を撫でて、

『おはよう、瑠璃。(ルリ)』

と、猫に挨拶をした。
しばらく猫と女の子の可愛らしいやり取りを眺めていると、
"ハッ"とした表情を見せた女の子は、

『…姉さん、すいません。おはようございます。』

と、私の方へ視線を向けると申し訳なさそうに頭を下げた。

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