3人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「あんた、家(ウチ)の前に倒れてたんだよ」
綺麗な人が壁にもたれかかってそう言った。作業着を着てる男の人は「は?」って言う顔をしながら、目線だけを私と綺麗な人と交互に見る。
「ちょっと転んじゃって・・・」
「へー、ドジなのね。で、何高?」
「あ、中三です。南中(横浜私立南中学校)・・・です」
「ああ、ごめんね。・・・?南中??飛鳥、お前南中じゃなかった?」
「そーだけど」
「学校まで送ってってやんなよ」
「は?」
「あ?」
「・・っち・・わーったよ。着替える」
「サンキュー、じゃあ君、こっち来て」
「あ、はい」
綺麗な人に手招きされて、私は部屋を出た。この部屋の向こうはリビングだった。
「レジ、空だからレジ行くよ」
「はい」
その人について行くと、カーテンがありその向こうには酒屋のレジがあった。
「名前は?」
近くにある椅子に腰掛けて足を組みながら私に問いかけてくる。
「美実・・・夢乃美実です」
「美実?・・・へー美実ちゃん。あたしは恵梨子(エリコ)。あっちにいる無愛想なのは弟の飛鳥(アスカ)」
「恵梨子さん・・・?あ、ありがとうございました!」
「気にしないで・・・で、学校行ける?家帰る?」
「学校行けます・・・って言うか送らなくて良いですよ!?」
「あいつ暇人だから大丈夫よ」
「・・・でもですね」
あんな嫌っそーな顔してたし・・・。気まずいよーう。
最初のコメントを投稿しよう!