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B
新入生歓迎会の部活動紹介があったのが、昨日。
今日から晴れて、部活動の仮入部期間が開始となる。
「そういや、俺達文芸部は何で部活動紹介出なかったんだよ?部員二人しかいねぇのに」
問いかけると、アンズは本を読む目を外さず、右手を俺の頭に置いて答えた。
「なるほど。他の部員が入るのは嫌なのか。お前昔から人付き合い苦手だもんなぁ」
納得したので、それきりアンズの読書を邪魔しないよう、俺も本に目を落とす。
アンズは、二年生にして文芸部の部長だ。
もともとはアンズ一人きりの部だったが、幼馴染のよしみで去年から俺も入部している。
読書なんて今まで全くしたことはなかったが、アンズに薦められた読みやすい小説を読んで、最近俺は読書にハマりつつあるってわけだ。
「いやいやいや、いくら何でもそれはおかしいってアニー」
小説に集中していたもんだから気配に気が付かなかったが、いつの間にか部室の入り口に梅田が立っていた。
何故か呆れ顔をしている。
「よう梅田。どした?」
「アニーにツッコミ入れてたらキリないって分かってるけどさ。何で、床で腕立てしながら読書してんの!?しかも何で、アンズちゃんは無表情でその背中に座ってんの!?」
梅田の後ろには、何人かの男子生徒が顔を覗かせていた。
見ない顔ばっかってことは、一年生か?
「アンズ、軽いからな。読書しながらの軽いトレーニングにはちょうどいいんだぜ?」
「片手で腕立てしてる時点で軽くないから!十分ハードトレーニングだから!」
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