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ふらふらとおぼつかない足取りで歩いているのは、週末の繁華街だった。
田舎の繁華街だというのにネオンはこれでもかというくらい輝いていて、酔っ払った田舎娘の自分を嘲笑っているようだ。
「日比野ちゃ~ん。超フラついてっけど大丈夫ぅ?」
隣を歩く大学の先輩が、横から覗き込んできた。
私よりも頭ふたつ分くらい背の高いその男性は、いつもより頬が赤い。私同様ずいぶんと酔っ払っているようだ。
酒気を帯びた息が耳にかかり、少しだけ体を離して歩いた。
「大丈夫……です」
本当は大丈夫なんかじゃない。
お酒なんかちっとも美味しくないのに、なぜ付き合いで飲まなくちゃいけないんだろう。
誘われるがままにサークルに入ってしまった自分が恨めしい。
そんなふうに自己嫌悪に陥っていると、隣の先輩の声が耳元で聞こえた。
「ちょっと休憩してかね?」
「……」
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