アオ

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 アオのように、戦で家族を失った人はたくさんいました。  そんな人々は、肩を寄せ合って生きていました。  しかしアオは、そんな人々とは一緒に生きさせてもらえませんでした。  アオは、除け者にされたのです。  初めは諦めずに人々に話し掛け続けていたアオも、時が経ち、誰もが"何故か"自分を避けることに気がついてしまいました。  そしてアオはこう思ったのです。  "あぁ、自分はここに居てはいけないのだ"と。  アオは、人々の許を去りました。  昔々あるところに、一人の女の子が居ました。  名前は『アオ』。  彼女は昔の名を、もう覚えていません。  彼女は、自分が『アオ』であることを受け容れ、独り静かに塔の中で暮らしています。
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