1人が本棚に入れています
本棚に追加
発砲されたのは、凛花だった。
「凛花ちゃん!」
鈴さんが倒れた凛花の体を抱え、必死に呼び掛けた。
「え…?なん…で、凛花が…」
俺は加速の能力を使い、凛花のもとに戻った。
「華道…助かったよ!」
「貸しだからな」
二人は笑っていた。
「凛!起きてくれ!何で…凛!目を覚ましてくれぇぇ!」
だが凛花は目を覚まさなかった…これが俺が凛花を見た最後の日だった。
「このクソガキが!よくも俺を殴りやがって!」
玄は自分の腰から拳銃を取りだし、俺に向かって発砲した。
「バキュン!」
だが玄は、俺に殴られたダメージで銃口が左にずれ、銃弾が真っ直ぐ鈴さんに向かって飛んで行った。
俺は妹を失ったショックで、回りの音など一切聞こえていなかったが、鈴さんの体を押し、替わりに俺が玄の放った銃弾を食らった。
「京介くん!何で…何で皆いなくなるのぉ!」
体には激痛が走り、それと同時に意識が遠退いて行くのを感じた。
「鈴さん…すいません…俺は、誰も守れなかったです…」
意識が遠退いていき、俺は力尽きた…。
「はっ!」
俺はその場から立ち上がった。
だが俺が目覚めた場所はいつも世界ではなく…木々や建築物などは無く、回りは全て真っ白な世界だけだった。
「なんだ、此処は?」
果てしなく続く、真っ白な世界に俺は頭が痛くなりそうだった。
「此処はまさか天国なのか?」
「そんなわけあるか」
後ろで声がし、俺は振り返った。
「誰だ!」
だが俺は信じられない光景を見た。
そこに立っていたのは、姿は人なのだが、人と呼べる大きさではなかった。
「まぁまずは、自己紹介からだろ?俺の名前はメビウス、お前達の世界で言うと聖書に出ている『覇王』かな?」
俺は口をあける事が出来なかった…なぜなら、人の何倍もの大きさがあり、それに禍々しいオーラを放っていたからだ。
「君は自己紹介が出来ないのか?」
俺は口をぱくぱくさせる事しか出来なかった。
「まぁびびるのも当たり前か…人間は臆病な生き物だからな」
メビウスの言葉に俺は何故か怒りと殺気が芽生え、臆病な気持ちが消え去った。
「
最初のコメントを投稿しよう!