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―――――――
その頃。
「ロン。緑一色32,000」
「ツモ。字一色16,000オール」
「ツモ。立直、清一色、二盃口、平和、ドラ416,000オール」
…………。
現インターハイチャンピオン。
久遠永久(くどうとわ)。
麻雀の名門である赤祭高校の二年生トップ。
その牌譜というのは、東場ではほぼ和了なしだが、南場では連続で叩き出すにはサイコロの1の目を50回連続で出すほど難しい高得点を速いペースであがる。
久遠が南場に持ち込んだらほぼ確実にとばされる、というのが常識なほどに……。
「ありがとうございました」
対局が終わると同時に帰宅準備を始める久遠。
そこに一人の男が来る。
「久遠」
「名取さん、なんでしょうか?」
「萩野癒月……という名前は押さえているか?」
赤祭高校と同地区にある、これまた強豪校である谷地針高校の主将・名取尚治(なとりなおはる)。
今年のインターハイ大会で引退する彼は、一つ一つの大会を重く感じている。
そのため、一人ずつの個人の既存牌譜はほぼ暗記している。
「名取さん、すいません。私、これから予備校がありますので……」
「二年前。あんたが唯一負けた相手。最終局は必ず国士無双で和了する化け物。あんたは最後の最後まで諦めなかったが健闘の末、負けた」
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