序章【打つ者、打たされる者】

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『決ぃまったぁぁ! 2025年度インターミドル大会を制したのは北海道・私立朝霧中学校の萩野癒月だぁ!』 アナウンサーの雄叫びが試合会場内に響き渡った。 「ありがとう。中学校最初で最後の大会で君と麻雀を打てたことを誇りに思う」 「悔しいけど負けは負け。完敗だわ。また高校でも打ちましょう」 「……っ。ありがとうございました……」 対戦相手は互いに握手をしあった。 涙する者も当然いた。 『インターミドルチャンピオンの座に輝いた萩野選手は表彰があるため、控室に戻り次第、講義室Fへ来てください』 館内にアナウンスが掛かる。 「私で良ければまた、一緒に打ってください」 そう言った癒月は、卓上の撥を裏返して去っていった。
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