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「それロンだわ」
部室の扉を開くと、そこには自動卓とそれを囲む数人の生徒がいた。
麻雀を打っているらしき卓の周りには3人の生徒が立って卓の様子を見ている。
和了したであろう男子生徒は手を見せて言った。
「タンヤオ、ドラ2ッスよ荒井先輩」
「勝利のクセにタンヤオで私の親場を流すなんて! ……あれ?」
荒井と呼ばれた女生徒は入り口に呆け立っている癒月の存在に気付き、卓から離れた。
「君が噂のインターミドル王者かー。我が暁高校麻雀部へようこそ! 今年は新1年生が4人も入部してくれて豊作だよ。私の名前は荒井涼子。この部の創部者にして部長よ!」
ほんわかした雰囲気の涼子は、軽い挨拶を済ませて、続けた。
「とりあえず自己紹介は部の活動が終わったあとで。今はみんなで打ちましょう!」
「あ、は、はい!」
サクサクと軽快に話を進めていくこの性格はある種のカリスマである。
癒月もなんとかおどおどと返事をするも、目はやる気に満ちていた。
受験勉強のため、2ヶ月ほど麻雀を打てていなかったその指先は、感覚を少し忘れつつあった。
「手始めに私と勝利、それと夕夏。この4人で対局としようかー」
自動卓の椅子にそれぞれ座り、対局の途中だった点棒をそれぞれ初期に振り分け、対局者達はサイコロを振った。
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