第1局【出逢い】

4/9
前へ
/16ページ
次へ
サイコロを振った結果、東家・癒月、南家・涼子、西家・浜名勝利[はまなしょうり]、北家・福井夕夏[ふくいゆうか]となった。 「東南戦25,000点持ち、喰い断あり。トビはなし」 癒月の左隣に座る夕夏は、淡々と呟いて、自動卓によって積まれた山から牌を取っていく。 [東一局] 癒月もまた、同じように牌を取っていく。 ドラは八索。 (索子ばかりの二向聴……。清一色が狙い目かな) 癒月は数秒考えたのち、連風の東を場に捨てた。 次に、涼子が自模ってきた牌を加え、にやりと微笑んだ。 同じく東を、場に横にして捨てた。 リー棒と共に。 「リーチだっ!」 カラン、と卓の上で千点棒をは音を立て、二回ほどバウンドして静かになった。 「荒井先輩、いきなりダブリーですか……」 はぁ、と溜め息を吐いた勝利。 安全牌など、ダブリーでは察することはできない。 一拍置き、勝利は東を場に出した。 四風連打。 強制的にその局を流局に持ち込もうとしての行動だろう。 チラッ、と三年生である夕夏を見やり、アイコンタクトを取った。 「残念だけど、私もリーチ」 夕夏にとっての自風である北を捨て、リー棒を場に出した。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加