prologue

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白い息、赤い頬と鼻、摺り合わせる手。 俺はマフラーを巻きなおし、隣を歩く少女を見やる。 少女は、しんしんと降り積もる雪達を全身に被らせ、一心に体温を保持しようとしていた。 「…寒」 一言、少女が呟く。 そりゃそうだ。 「今日の最低マイナス10℃だって」 「へぇ、どうりでな」 俺の返事に、?マークを浮かべる少女。 「どうりで、お前の鼻が真っ赤な訳だ」 慌てて、フードの下の鼻を押さえる少女。 「……じゃあ、あっためてよ」 じっと少女の顔を見つめる。 「何?」 元々赤い頬が、より赤みを増す。 「手、繋ごうか」 ん、と声を出して、白い少女は右手を差し出した。 俺は、その手を、しっかりと握りしめた。 ギュウギュウと鳴る雪道を、彼女と歩ける。 それだけで俺は幸せだったんだ。 それだけで……
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