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……近藤の苦手科目は古文、と。
「さーくーらー!!」
近藤が結城につかみかかる。
「あ、駄目だよ! ……耳!? 耳は止めてー!!」
……結城は耳が弱点、と。
女子高生二人がじゃれあう姿はなんとも微笑ましい光景で、見ていて思わず笑みがこぼれる。
あ、俺も同年代だからね。念のため。
……と、誰に対してかわからない言い訳をしていると、眼前に校門が見えてきた。
我が学舎、公立鳴星高校だ。
昇降口で二人に別れを告げ、自分の教室に向かう。
クラスメート達に挨拶を掛けながら窓際の席に着くと、
斜め前の男子がバッ、と振り返り、爽やかな笑顔でこちらに抱きつこうとしてきた。
「おはよう!! 我が愛しの子猫ちゃん!」
異常なハイテンションと常軌を逸しているとしか思えない言葉を発したのは友人の一人。板橋 恵介(イタバシ ケイスケ)だった。
「あぶなっ!? いきなり目潰しは反則だろ。
ギリギリマ○リックス避けしたからなんとか回避出来たけど」
気が付くと俺は恵介の顔面に全力でチョキを出していた。恵介が並の変態だったら、確実に失明していたところだ。
(……ちっ)
「え!? なんで! なんで今舌打ちしたの!?」
「おはよう恵介。今日もいい天気だね」
俺は飛びっきりの営業スマイルを恵介に向ける。
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