‐非行少年‐

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    「残念。御愁傷様」 ローテーブルに5枚のカードが扇形に並べられた。 下になっている左側から、"キング"が2枚に、"ジョーカー"を挟んで"5"が2枚。 それが意味してるのは、オレの敗北――。 途端に部屋全体が爆笑の渦に包まれる。 笑みを崩すのも忘れて硬直してたオレは、周りの笑い声が収まる頃になって、ようやく状況を理解した。 「くっそぅ……また"大貧民"かよ……」 「お前ホント弱ぇな」 「仕方ねぇだろ!?強ぇのは全部最初に失ってンだから!!」 そう。"大富豪"ってのは、そーゆーゲームだ。 前のゲームで負けた"大貧民"は最初に上がった奴、つまり"大富豪"に手札の中で1番強いカード2枚を献上して、代わりに"大富豪"は手札から必要ないカード(殆どが弱いカードだが)を"大貧民"に恵む。 それが2回戦目からのルール。 で、オレは3回戦目から負け続けてる。これで5連敗目だ。 多分新記録を樹立したと思う。めでたくない。 そして更に、今やってる"大富豪"には"罰ゲーム"というオプションが、もれなく付いてくる。嬉しくない。 ……のだけれども、 .
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