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と、ここまでが僕と桜さんの出会いになるわけなのだが、漫画や小説のような荒唐無稽でユニークなものではない自然的なものであるから、彼女の頭の中にはこの時の記憶など綺麗さっぱり消えていることだろう。
だが僕にとっては違ったのだ。
彼女の何気無い言葉、動作で、僕は風に運ばれる木の葉のようにひらりひらりと弄ばれ、翻弄され、彼女を自然と意識せざるを得なかった。
つまり一言で言うと、超自然的なものだったのだ。
……まあもっとも、当時の僕は色んなことに怯え不安に思っていたせいか、この彼女との出会いとその存在を半分は忘れかけてしまっていたのだが。
しかし僕は今でもこの出会いを覚えている。
彼女の存在をキャンパスに描いた絵のように鮮明に思い浮かべることができる。
それはひとえに、彼女が何度も、僕に向かって“無意識の風を吹かせていたからだろう”。
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