第一章 彼女との出会い

6/12
前へ
/14ページ
次へ
そうして自己紹介は滞りなく続いていく。 「11番佐山幸助。 部活はバスケ部で、出身中学は栗ノ倉中。趣味は可愛い子を探すことで、特技はナンパっす」 テヘッ。 そう言って軽率な雰囲気を前面に出している二枚目男子は、同じバスケ部員の佐山幸助(さやまこうすけ)。 当然深い交流があるわけではないが、比較的話すことが多い人物である。 髪は金髪で見ているこっちが野暮ったく感じるほどの長さなので、顧問の先生からはいつも注意されている。 が、本人は「これがないとオレじゃなくなる!」と言っているので、彼の髪が黒くなる日は永遠に訪れないだろう。 ちなみに彼のナンパの成功率は八割を超える……らしい。 「15番園寺大地(そのでらだいち)だ。 部活はバスケ部で、出身中学は栗ノ倉中。趣味は体を鍛えることで、特技はりょ……じゃなくて、倒立したまま階段を登れることだ。 これから一年間よろしく」 いっぽう、人懐っこい佐山君と違ってぶっきらぼうで近寄り難い雰囲気を出している野性味たっぷりの男子は、同じくバスケ部員で比較的話すことが多い園寺大地。 見た目も筋骨隆々で背が見上げるほど高いので、クラス内外問わず『ハルク』と呼ばれ恐れられている。 といっても怖いのは外見だけで、中身は料理とお裁縫と甘いものが大好きないわゆる乙女系男子なのだが。 しかしそのことに関しては園寺君に固く口止めされているので、詳細の説明は止めることにする。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加