第一章 ひとりかくれんぼ

9/22
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
香「ひぃっ!?」 ワンピースの女を見て香子さんが悲鳴をあげる。 女はニタニタ笑いながら階段から現れ、 俺達の前に立ちはだかった。 女の顔は髪で覆われて見えなかったが、 その髪の隙間から俺達を見る目は真っ赤に充血し、 まるで標的を見つけた獣のように、 鋭く俺達を見つめる。 そして女の右手には血塗られた草刈鎌が握られていた。 『コ…デ……ワ…』 俺達が固まっていると、 女が何か呟きながら鎌を振り上げる。 そして、 『コレデオワリ』 女はそうはっきりと言って、 鎌を香子さんに振り下ろす。 霊「危ない!!」 俺はとっさに香子さんの腕を引っ張った。 その瞬間、 鎌はヒュンと言う音をたてて香子さんの髪をかすり、 床に突き刺さった。 霊「和仁!! 香子さん! とにかく今は逃げよう!」 和「同感だぜ!!」 俺は香子さんの腕を引きながら、 今来た廊下を全力で走りだした。 『ニガサナイ… ゼッタイ…ニガサナイ… ウヒャヒャヒャヒャヒャ!!』 女は床から素早く鎌を抜き、 笑いながら俺達を追いかけ始めた。 霊「和仁、 お前は部室棟に逃げてくれ! 俺達は教室棟に逃げる!!」 和「あぁ!! 多分狙いは香子さんだが… わかった!」 階段付近で、 俺達は和仁と別れる。 すると女は、 何故か和仁を追いかけだした。 和「え、ちょ、何故俺!? う、うわぁぁぁぁぁ!!」 和仁は女に追いかけられて部室棟に走って行った。 俺達は月夜さんに開けてもらった教室に入り、 鍵をかけてへたり込んだ。    
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!