story4、トカゲ鎮魂歌(レクイエム)

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“じぶん”が初めて見たのは真っ暗な闇… 湿気が多くてジメジメで、そして誰もいない無力感に苛まれるだけの存在である“じぶん”はちっぽけで “じぶん”が誰なのか いつからここに存在を記していたのか 何もかも分からない… ただ分かるのは、顔を覆い尽くすばかりの髪と 汚れた体…醜く伸び放題な黒い爪 そして…“じぶん”は衣服を身に着けていないということだけ ?「……寒い。」 呟いた声は“じぶん”が聞いた初めての声 初めて発せられた感覚 ?「……“じぶん”は…誰…?」 両手を見れば泥で汚れ、顔を上げれば遠くに見える外の“光” それでようやくここが 洞窟であることに気付けた ?「……誰か……」 ふと洞窟の奥の方を見ると、“じぶん”以外にもう一人横たわっているのに気がついた その人は“じぶん”と同じで、髪は顔を覆い尽くす程長く、汚れていて、服を着ていなかった ?「あの……もしもし。」 その人に呼びかけてみても、その人はピクリとも動かない ?「ビルは死んだのか?」 突如聞こえてきたのは女性の声 ?「お前は…この闇を生み出す洞窟の新入りか…」 “光”を背にするその幼い姿には似合わず 血のように紅い眼は妖艶で美しく思った
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