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その日からダイナは2人を観察することにし、気付いた
ハートのジャックとハートのエース
同じ“側近”にして、同じ主人を持つ者同士は対照的だった
たくさんのトランプ兵達から信頼され、面倒見の良いエース
一匹狼で誰も寄せ付けないオーラーを出すジャック
それは例えるなら黒と白の関係性
決して交わることのない色の2人はとても魅力的だった
そして、そんな2人と毎日を暮らすことでダイナの心は満たされていた
ダイナが13歳になったある日の午後…
何時ものように中庭で読書をしているダイナの右隣ではジャックが見張りを勤め、左隣ではエースが寝転び真っ赤な林檎をかじっている
その香りは甘く広がり、“不思議の国”に溶けていく…
ダイ「ねぇエース…?それ、美味しいの?」
読んでいた本を閉じ、ダイナはエースの方を見つめる
幼かった容姿は美しく成長しつつあるダイナに見つめられると、誰しも目を逸らすことはままならない
まるで女王としての権利のようで逆らえられない
エース「何だい…女王様は林檎を知らないのかな?」
ダイ「……りんご?」
エース「甘い甘いフルーツだよ♪真っ赤なほどより美味しくてね、したたる蜜が癖になるんだ。」
エースはかじりかけの林檎をダイナに差し出し、かじるように促した
ジャ「エース、お前は食べかけを我らが女王に食させる気か。」
それを見ていたジャックは冷たい目をエースに向けた
エース「良いじゃないか、私は女王様の“側近”として、ごく普通な女の子を味わらせてあげたいだけなんだ。」
ジャ「馬鹿が…一国の王を何と心得ているのだ。」
眉間に皺を寄せ、不快な顔をするジャックにさえエースは笑みを浮かべて見せた
ジャ「貴様は……っ!!」
ジャックは立ち上がり剣に手をかけた時
ダイ「良いのよ、ジャック。」
ダイナはエースから林檎を受け取り、一口かじり
ダイ「……本当に甘くて美味しいわ♪ジャックもいかが?」
綺麗に笑みを浮かべ、ジャックに林檎を差し出した
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