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それからまた
いくつもの年を越えた
ある美しい花びら散る暖かな昼下がりに
女王は突然言ってはならない言葉を発した
ジャ「……女王、今何と?」
大ホールの王座に座るダイナは面倒と言わんばかりに膨れっ面で、シンプルな手紙を片手にヒラヒラさせながら再度口を開いた
ダイ「宣戦布告をされたのよ。在りもしない国の女王だと名乗る女にね…」
でも…
ダイ「この手紙を直接渡された訳じゃないし、女…だとは言い切れないけれど…受け入れることにしたの。」
敬意を示し、跪くエースとジャックに目を向けると、ダイナは口元を歪ませた
ダイ「その女は“白の女王”と言ったわ…。白の女王は私を殺し、この“不思議の国”を奪うつもりよ。」
エース「……それは一大事ですね。特に我々ハートの女王様の側近にとっては…」
エースもまたダイナをまっすぐ見つめ、にっこりと笑った
ダイ「でしょう?だから、どちらが本当の王であるか…白黒はっきりつけさせる為にエースかジャック、どちらかが“白の女王”の所へ行って私の手紙を届けて来て欲しいの。」
ヒラヒラさせていた手紙を2人に向け差し出し、近くに置いていたフルーツバスケットから林檎を取り出すと、一口かじった
エース「なるほど…それなら私が預かろう。」
エースがそう言った瞬間、ダイナは今までにないくらい無垢で新鮮に顔を赤らめ、嬉しそうにはにかんでいた
ジャ「………」
在りもしない国の白の女王から届いた宣戦布告
国の一大事…そんな冷たい事情にあるはずの緊張感の中
我らが女王は
笑みを浮かべる余裕を見せている
これ勇敢たりし王である証と見て良しなのか
他に理由があるのか
この時のジャックには何も分からなかった
ただ
心に染み渡る違和感だけが
感じられた…
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