story1、レイシーとリリィ

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レイシー「お前は……」 ふわふわの長い黒髪に紅い眼 黒のエプロンドレスに身を包んだ姿は朧気で 何も感じられない この子羊は──… レイシー「死した子羊か?」 レイシーは冷静に問いかけ、リイスに銃を下ろすように手で示した リリィ「私の名前はリリィって言うのよ。そして私は既に死んだ子羊よ…」 リリィは紅い眼を細め、試すような表情をしている レイシー「死んだ子羊が今更私に何の用だ?」 リリィ「私はただ貴女に逢いたかっただけよ♪」 リイス「……どうされますか?レイシー様。」 しばらくレイシーは自分と同じ紅い眼を持つリリィを見つめていた そして─── レイシー「どうせ隙を持て余しているからな、語るが良い…紅眼の子羊…。」 リリィ「あら…ありがとう♪」 レイシーから許しを得たリリィは、にっこりと笑みを浮かべた レイシー「死んだ身に食事は無意味だろうが、一応お茶は出そう。」 テーブルにもう一つティーカップを置くと、リリィの前に差し出し、紅茶を淹れた 途端に、ふわふわと湯気がリリィの周りを支配した リイス「……紅眼がレイシー様の他にいたとは…正直、驚きました。」 リリィ「そうよ、私達は紅い眼を持つ者同士…紅眼の同胞。歪んだ私の気持ちを分かってくれるのは…レイシーだけだと思っているわ。」 リリィはティーカップに触れようとするが、指先はティーカップに触れる前に透き通り、触れることは出来ない… リイス「………」 レイシー「軽視されては困るな紅眼の子羊…私はお前の思っているほどの包容力を持っていない。」 黒いドレスの先からつま先を出し、足を組んだ リリィ「分かってるわよ♪何者にも捕らわれないそんな貴女が好きよ、レイシー。」 レイシー「………物好きなものだな。」 笑顔とは禍々しい気を放ち、不気味に笑い合う2人は“不幸”を司る者 例えるなら毒を孕んだ薔薇であり その毒は骨をも溶かす… リリィ「私のお友達はレイシーだけ…」 それは嘘か誠か この紅眼の子羊が吐き出す言葉には歪みしかない レイシー「あぁ……私も少し、お前が気に入った。」 挑み甲斐があると言うものよ… レイシー「我が友人(とも)としてもてなそう…」 この歪みきった子羊の“真実”を解き明かすのは 暇つぶしに最適だ リリィ「嬉しいわ♪」 その綺麗に笑う顔も嘘なのだろう? ようこそ─── 紅眼の子羊 飽きたらすぐに “不幸”の底に還してやるからな
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