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レイシー「お前は……」
ふわふわの長い黒髪に紅い眼
黒のエプロンドレスに身を包んだ姿は朧気で
何も感じられない
この子羊は──…
レイシー「死した子羊か?」
レイシーは冷静に問いかけ、リイスに銃を下ろすように手で示した
リリィ「私の名前はリリィって言うのよ。そして私は既に死んだ子羊よ…」
リリィは紅い眼を細め、試すような表情をしている
レイシー「死んだ子羊が今更私に何の用だ?」
リリィ「私はただ貴女に逢いたかっただけよ♪」
リイス「……どうされますか?レイシー様。」
しばらくレイシーは自分と同じ紅い眼を持つリリィを見つめていた
そして───
レイシー「どうせ隙を持て余しているからな、語るが良い…紅眼の子羊…。」
リリィ「あら…ありがとう♪」
レイシーから許しを得たリリィは、にっこりと笑みを浮かべた
レイシー「死んだ身に食事は無意味だろうが、一応お茶は出そう。」
テーブルにもう一つティーカップを置くと、リリィの前に差し出し、紅茶を淹れた
途端に、ふわふわと湯気がリリィの周りを支配した
リイス「……紅眼がレイシー様の他にいたとは…正直、驚きました。」
リリィ「そうよ、私達は紅い眼を持つ者同士…紅眼の同胞。歪んだ私の気持ちを分かってくれるのは…レイシーだけだと思っているわ。」
リリィはティーカップに触れようとするが、指先はティーカップに触れる前に透き通り、触れることは出来ない…
リイス「………」
レイシー「軽視されては困るな紅眼の子羊…私はお前の思っているほどの包容力を持っていない。」
黒いドレスの先からつま先を出し、足を組んだ
リリィ「分かってるわよ♪何者にも捕らわれないそんな貴女が好きよ、レイシー。」
レイシー「………物好きなものだな。」
笑顔とは禍々しい気を放ち、不気味に笑い合う2人は“不幸”を司る者
例えるなら毒を孕んだ薔薇であり
その毒は骨をも溶かす…
リリィ「私のお友達はレイシーだけ…」
それは嘘か誠か
この紅眼の子羊が吐き出す言葉には歪みしかない
レイシー「あぁ……私も少し、お前が気に入った。」
挑み甲斐があると言うものよ…
レイシー「我が友人(とも)としてもてなそう…」
この歪みきった子羊の“真実”を解き明かすのは
暇つぶしに最適だ
リリィ「嬉しいわ♪」
その綺麗に笑う顔も嘘なのだろう?
ようこそ───
紅眼の子羊
飽きたらすぐに
“不幸”の底に還してやるからな
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