story2、芋虫の詩

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俺の名前は芋虫 役割は“傍観者”だ 芋虫として生まれ、長い長い年月をこの“不思議の国”で生きてきた 気づけば俺は孵化し、背にはピンクパープルの羽根が生えていたが気にしない… ただ見ているだけの役割で、たまに来る子羊の阿鼻叫喚を聞いていると気分も流石に滅入ってしまうが 俺には唯一の救いがある 芋「よぅ、悪友さん!ご機嫌よう。」 ここは真っ暗で金に輝く“扉”しかない場所 そんな場所に居るのは“不思議の国”とは何の縁もない“扉”の番人、レロニラ・ルクスだ レロ「どうも、最近よく遊びに来るわね~♪」 幼い姿にスーツドレスを纏い、いつからあったのか謎の安楽椅子に揺られながら、レロニラは人差し指を伸ばしてくれた そこが俺の特等席… 芋「あんな湿った場所に居るのも結構辛くてな!……それに俺は他の住人と関わりはあまりないからな。」 ポケットからはタバコを取り出し、火をつけた たちまち広がるタバコの匂い レロ「でも芋虫は“不思議の国”の者、私は“不思議の国”の者ではないし、ただの番人…。だけど嫌じゃないわ♪」 そう言って笑う顔は寂しさによるものではなく 幸せに満ち溢れて見えた これは矛盾している…? 芋「レロニラ…お前は一体“誰”なんだ?何を考えている…?」 普通なら許されることのない“不思議の国”から“ここ”を行き来することをレロニラに許してもらい、レロニラと出会ってもう長いが レロニラには絶対の違和感があった それは───… レロ「……私は住人ではないし、“不思議の国”が消滅しても私は消えたりしない…何故だか分かる?」 芋「いや……」 レロニラは安楽椅子から立ち上がると、“扉”に手を添えた カァ───ッ!! 芋「!?」 “扉”は目が眩むくらい光を放ち出した それがレロニラのチカラのようで レロ「私は“可能性”、全てに対しての“可能性”と呼ばれる存在だからよ♪」 芋「可能性……?」 それは“現実の世界”に存在する人間(ひと)のことなのか それとも“ここ”でしか存在を示すことの出来ない者なのか… レロニラはまだまだ謎が多い
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