story3、泪の池

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ここは暗い暗い地下水路 太陽の光はここには届かない… メアリ「……お腹、空いた…」 そんな場所に居るのは8歳の時のメアリアンだ 着ているドレスはビリビリに破れ、艶の無くなった髪はボサボサで、顔は殴られた痣で腫れ上がっている 季節は冬 裸足には、まるで氷の上に立っているようで、もう感覚はない それに先程から空腹で腹の音が止まらないようだ メアリ「……お母様……」 何が気に食わなかったんだろう 3日ほど前のホームパーティーから一変、数々の伯爵や子爵達が帰った後 お母様は私に暴力を振るい、この地下水路に“折檻”した だからもう、3日は飲まず食わずで… ポタ… 凍えきった足に落ちた泪は温かくて、何だか余計に悲しくなった メアリ「……ぅ……うぅうう…っ」 私はお母様の 公爵夫人の本当の娘ではないらしい ただのオモチャ 私の人生は既にあの人に奴隷として捧げられた もう誰も助けてくれない タスケテクレナイ… パシャ──… メアリ「!?」 突然の水の音にメアリアンは顔を上げた メアリ「だ……れ……?」 ?「さっきからメソメソと鬱陶しいガキだな。」 ?「シャロリーナ!あまり側に寄らないのよ!!その子供はきっとこの公爵家の娘よ!!」 目を凝らすと、すぐ側まで美しい人魚の姉妹がいた メアリ「……人……魚?」 人魚は海の悪魔 近づけば命はないとされる凶暴かつ、不老不死を持つ神秘な生き物 遂に私にも悪魔が寄り付いてきたのね
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