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脱衣所でずぶぬれになった洋服を脱ぎ、あたしは自分の気を落ち着かせるため少し熱めのシャワーを浴びた。
・・潤は、あたしより2歳下の幼馴染で、長野の実家のお隣さん。
うちは、父親が会社勤めの兼業農家で。(キャベツももちろん自分ちの畑でとれたものだ。)両親共に学校の先生をしている潤は、まだ物心つく前からよくうちに預けられていた。
ひとりっこの潤と、歳の離れた兄しかいないあたしは、まるで本当の姉と弟みたいに育った。澪ちゃん、澪ちゃん、って、いつもあたしのあとをついてきた潤。いつ、どこへ行くにも一緒だった。
だけど、潤がうちに預けられるような年齢でもなくなり、あたしが中学に上がった頃からいつのまにか一緒に遊ぶこともなくなってしまい、最近は、お盆と正月に実家の近くでちょろっと見かけるくらい。
潤は、実家に住んだまま、地元の大学に進学したってうちのお母さんが電話でいつか言ってたはず。
知らず知らずのうちに、あたしと潤の間にできていた距離。それは、いつも一緒だった小さい頃からは考えられないほどの遠さになっていた。
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