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いたずらっぽくそう言った潤を、あたしは鼻で笑ってやった。
「潤のくせに何言ってんの?でも、ちょっとでもおかしなことしたら、すぐ出てってもらうからね?」
あたしの言葉にこくこくと肯く潤。
「てゆうことは、俺ここにいてもいいってことだよね?」
「まあ、1ヶ月だけだし…」
あたしは、そそくさと諭吉を自分の鞄にしまいながら答える。やったねーと、とても嬉しそうに潤が笑う。
「あ、そうだ。ついでに、ヘンな男引っ張り込んでないか見てきてっておばさんに言われてるんだけど」
「は?そんなんいないよ」
いたら、一緒に住んでもらってるって。こんな苦労してない。
だいたいお母さんってば、自分は潤に勝手に合鍵渡したくせに何言ってんの。…まあ、潤はそういうんじゃないからいいけどさー…
「いないんだ。よかった」
潤が、再びにっこりしながら言った。
・・ん?よかった?
「あ、ねえ澪ちゃんの好きな開運堂のパリーモもあるよ。おばさんが持ってけって」
「あ、ほんとだ!すごい久しぶりだ!あたし大好き、これ」
なんだか潤が気になるひとことを吐いたような気もしたけれど、あたしの視線は差し出された懐かしい故郷のお菓子に移ってしまった。
潤が、そんなあたしを見て、不敵な笑みを浮かべていたことに気づきもしないで。
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