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「だいたいさぁ、唇がちょっとぶつかったくらいで味なんてしねえだろ?あんなもん幻想だってー。
初回から舌突っ込むとか、やる気満々すぎて引くわー俺」
冬の木漏れ日の中、公園の隣の細い抜け道を歩きながら瑞希が言う。
瑞希が言ってるのは、放課後、うちのクラスで話題になってた『ファーストキスの味』の話の続き。
みんな、いろんなこと言ってた。
リップクリームの薬っぽい味だったとか、イチゴの味とか、キスする前にわざわざ噛んだクールミントのガムの味とか、マルメンの味とか。
まあそんなこと言われても、あたしには何のことやらさっぱりわからない。
だって、キスなんてしたことないもん。
だから、みんなの話題に加わることなく、ただ黙って聞いてたんだけど。
ていうか。
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