来るもの拒まず去るもの追わず

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「相変わらず女にゃ甘ぇんだな」 「別に女に対して甘い訳じゃない。切磋琢磨して新しい商品を作り、努力をしている人間を俺は好きなだけだ。それにアリアは将来きっと立派な薬士になる。所謂、後続育成かな」 「後続育成って・・・お前っ」 「まぁ近々ちょっと遠征をな」 「・・・なんだ街を出てくとかじゃないんだな?」 「なんでそんな話になるんだよ」 「お前が遠い目をしながら変なこと言うから勘違いしたんだよ!」 「え?なに?まさか俺が街を出てくと思って心配したりしたのか?・・・うわっマジでキメぇ。ガンツ、短い付き合いだったな。これから俺の半径十キロ圏内に近づかないでくれ。キメえから」 「てめっ二度と来んじゃねー!!とっとと野たれ死ね!!」  真っ赤な顔で手当たり次第に手近なものを投げつけてくるが、飄々と避けられた挙句張られた障壁に弾かれてなに一つ当たらない。 「やなこった。俺は俺のしたいようにするんでな。まだ死ぬ気は毛頭ねーよ。じゃあなツルピカ、歳なんだから喧嘩はほどほどにしとけよ?」  意地の悪い笑みを浮かべてその場を去る後ろ姿を、厳つい親爺は肩で息をしながらただただ見つめるのだった。
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