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第一班のメンバーは無我夢中でバスから離れるように走った。
それを確認したかのように、バスやそれに続く車達もどこかに向けて発進する。
「後ろを振り返るな!!!!」
兵隊の怒声と共に銃の音が空に響いた。
「いやあぁぁ…!」
菜摘が星那の腕にがっちりとしがみついたせいで二人はもつれるように転んだ。
「やっ…ナツミ…っ」
「お前ら早くしろよ!」天野翔は思わず叫んでいた。
「大丈夫か?」
千葉竜之介が地面に倒れている二人に駆け寄る。
「ちょっと待って…ナツミ、離してよぉ」
「怖いよぉぉ!怖いのぉ!死にたくないいぃぃ」
菜摘は半狂乱状態になって星那にしがみついていた。
「若杉、とりあえず立って」
竜之介は菜摘の肩を支えて起こした。
「………」
星那は一瞬だけ、今の状況を忘れて二人をじっと見てしまった。
それどころじゃないはずなのに。
覆い被さっていた菜摘が体の上から離れてから自力で起き上がり、スカートについた砂ぼこりを払う。
「とりあえず、Eー5に急ぐしかねぇよ。坂本…その袋の中に地図とか入ってないか?」
鬼塚隼人に急かされて、星那は袋の中を探った。
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