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開始のラッパの音が鳴ってから、5分が過ぎた。
星那はスカートのポケットを探った。
…ない。携帯が、ない。
学生鞄の中も探したが、見つからない。財布も抜き取られているみたいだ。
『携帯電話は使えないからそのつもりで』と言われた覚えがあるが、そういうことなのだろうか。
「おい、坂本どうした」竜之介は星那に声をかけた。
星那は泣きたいのをこらえて声を振り絞った。
「竜之介くん…携帯と、財布がなくなってるの」
「……あ、俺のも」
鞄を開いた翔が、ぽつりと呟いた。
まだ何も始まった気配はない。
近くで物音がする度に隼人は身構えている。
翔と竜之介は説明書を見ながら、武器の使い方をあれこれと調べている。
「…B組の奴らは容赦なくやってくると思うか?」翔が竜之介に聞いた。
「俺は出来ねぇよ。出来ればやりたくねぇ。運動会なんかじゃねぇんだよ…ばったり出くわしたら話し合うしかないって」
菜摘も恐る恐る会話に参加した。
「でも…話し合いに応じてくれると思う?」
「だよな…向こうだって5、6人で行動してる訳だし」
「話し合う必要なんてあるか?俺らA組が無事で生き残れればいいだけだろ!!」
と叫んだのは隼人。
翔は思わず小声で隼人を叱りつけた。
「静かにしろよ、近くにB組がいるかもしれないだろ」
そのとき。
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