戦闘開始

2/8
前へ
/44ページ
次へ
開始のラッパの音が鳴ってから、5分が過ぎた。 星那はスカートのポケットを探った。 …ない。携帯が、ない。 学生鞄の中も探したが、見つからない。財布も抜き取られているみたいだ。 『携帯電話は使えないからそのつもりで』と言われた覚えがあるが、そういうことなのだろうか。 「おい、坂本どうした」竜之介は星那に声をかけた。 星那は泣きたいのをこらえて声を振り絞った。 「竜之介くん…携帯と、財布がなくなってるの」 「……あ、俺のも」 鞄を開いた翔が、ぽつりと呟いた。 まだ何も始まった気配はない。 近くで物音がする度に隼人は身構えている。 翔と竜之介は説明書を見ながら、武器の使い方をあれこれと調べている。 「…B組の奴らは容赦なくやってくると思うか?」翔が竜之介に聞いた。 「俺は出来ねぇよ。出来ればやりたくねぇ。運動会なんかじゃねぇんだよ…ばったり出くわしたら話し合うしかないって」 菜摘も恐る恐る会話に参加した。 「でも…話し合いに応じてくれると思う?」 「だよな…向こうだって5、6人で行動してる訳だし」 「話し合う必要なんてあるか?俺らA組が無事で生き残れればいいだけだろ!!」 と叫んだのは隼人。 翔は思わず小声で隼人を叱りつけた。 「静かにしろよ、近くにB組がいるかもしれないだろ」 そのとき。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加