戦闘開始

7/8
前へ
/44ページ
次へ
「坂本、今すぐヘルメットとパーカーは脱ごう」 「えっ…でも…大丈夫なの」 「これを着ていたら、確かにA組に見つかった時は味方だっていう合図になる。 でも今はB組の奴らに見つかる危険を少しでも減らしたいんだ。 これをずっと着てなきゃ首輪が爆発するとか殺されるなんてルールはなかったはずだ。 パーカーは脱いで、ヘルメットは布か何かで色を隠すんだ」 「…それもそうだよね」 星那は竜之介の言う通りに素直にパーカーを脱いだ。 5月も半ばで夜とは言え気温はむしろ少し暑いくらいだ。 星那のパーカーの裾には、スカートと同じようにべったりと血の跡がついていた。 白いパーカーが仲間の流した血で半分紅く染まっている… 思い出すと気分が悪くなってきてしまった。 「私、ちょっと気持ち悪くなってきちゃったよ…」 竜之介は脱いだパーカーの代わりに星那の肩に自分の学ランをかけた。 「…無理もないさ。さっき目の前で隼人と翔が殺されたんだ。俺も正直きついよ。 でも…今は先のことだけを考えよう…」 竜之介は星那に見えないように顔を伏せた。 竜之介は二人きりになってしまった今も班のリーダーとして、ペースを守ろうとしている。 千葉くんも、苦しいんだな… 星那は下を向いた竜之介の肩を抱き締めて頭を撫でてあげたい、と思った。 だが身体は石のようにその場で固まったままで、何もすることが出来なかった。 夜は、更けていく。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加