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反応がない。
もう一度、小石をぶつけてみる。
薄いカーテン越しに人影が見えた。
(ミヅキねえさーん)
ひとみは心の中で呼んだ。
「…ん…あれ、ひとみちゃん!!!」
窓から坂本美月が顔を出した。
「シーッ!!」
美月の声があまりに大かったものだから、ひとみは焦った。
「またサボり?セナならちゃんと学校行ったよ?」
「バイク、貸してください。今ちょっと大変で」
「いいよー。ガソリン満タンだから。明日には返してね。学校に乗ってっちゃ駄目だよ。てか今日郊外学習じゃね?あんた達」
「ごめんなさい…急いでるんです。後で絶対返すんで」
ひとみが頭を下げると、美月は頷いてサッと部屋の中に戻った。
カッターシャツの背中がぐっしょりだ。髪も乱れてる。
2分ほどで美月は玄関を開けた。
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