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「いえ、急だったのでびっくりしてしまってすみませんでした」
とりあえず非礼を詫びる。
「いえいえ、こちらこそ。で、何が甘かったんですか?」
「-----姉を探してここにきたのですが、手がかりがなくて……」
梨花はため息をつく。
「お一人で?」
「-------」
「あっ、もしかして警戒してます? ……よね。大丈夫です。そんなめんどくさいことしませんから」
「------はぁ?」
「人を騙すなんて、面倒だと思いません? 余計な労力ですよね」
本気でそう思っているのだろう。
あっけらかんとしている青年に思わず笑みが漏れる。
見知らぬ土地で張り詰めていた気持ちが少し和らいだ。
少なからず、この青年は大丈夫そうだ。
「ええ。故郷を離れてまいりました」
「大変ですね。………女の子の一人旅ですか…」
「はい…………えっ? 今何と?」
あっさりと聞き流してしまった言葉について聞き返す。
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