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「えっ? 女の子の一人旅は危険ですよね、って」
何か可笑しいこといいましたか、と笑顔で問われる。
この道中、女であることがばれたことはない。
同性からでさえ………。
だが、目の前の青年はあっさりと梨花が女であることを見抜いている。
「…………どうして…」
「どうしても……見れば判ります」
(いえ、今までばれませんでしたけど……)
心の中でツッコミを入れる。
「で、お姉さんの名前は?」
「------」
梨花は再び青年を警戒の目で見る。
「あ-……何か警戒の目で見ている。んーとですね、君に声をかけたのは、何となく面白そうだからです」
「はぁ?」
「じゃなければ、面倒ですもん」
人がいいのか、そうじゃないのか解らない発言をする。
(面白そうだから声をかけるって、人間的にどーよ)
思うこともあるが、少なからず人を騙す気持ちはないようなことは確かである。
頼るべき人がいない京。
ここで黙っていても先に進まない。
(まあ、仮に何かあっても大丈夫かな……)
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