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(-----兄上……、見知らぬ人についてきたら、そこは狼の巣でした……)
心の中でため息をつき、梨花は案内された部屋でちょこんと座っていた。
いや、部屋というより、板の間の広間だ。
そこに梨花を連れてきた青年と数人の男性がいた。
いずれも梨花から見て、強そうに見える。
(あっ、あっちの人は剣より槍だわ)
体の筋肉のつき具合、その立ち振る舞いから何となく予想がつく。
(………あら、あの人はさっき会った……)
町中で梨花をちらりと見た青年もいた。
整った顔立ちをしているが、何処かとっつき難そうに見える。
「----おいっ、総司。どういうつもりか知らねぇが、なんだって見知らぬ奴を連れてくるんだ!」
「だって、可哀相じゃないですか。故郷を出て一人で京にきて、お姉さん探しなんて………」
青年の言葉に男はちらりと梨花を見た。
そしてため息をつく。
「あのな………いくら何でもここは男所帯なんだぞ。こんな所に連れてくるほうがよほど可哀相だろうが………」
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