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(----それはそれで複雑--)
「---俺は永倉新八ってんだ。よろしく」
「新八さん……それじゃ何だかわかんないよ。……俺は藤堂平助ってんだ。よろしくな、梨花」
「-----あ……よろしくお願いします」
「おめぇら、勝手に『よろしく』してんじゃね-。まだ、こいつを預かるわけじゃなねーんだ」
青年との果てしない口論を止め、土方が梨花の前に立つ。
「で、左之の話の続きだ。あんた……姉さんを探すためだけにここに来たのか?」
きつく言い、梨花を見る目は疑惑に満ちている。
敵の多い新撰組なら何処かの間者と思ってしまっても仕方ないのだろう。
「----兄が、京で大怪我を負いました。私はその敵を討ちたいのです」
本音を言えば目的らそれだけではない。
だが、兄の敵を……というのが一番の目的だ。
「この広い京でどうやって探す?第一、そいつはまだ京にいるのか? もし会えたところで、てめぇの腕で敵が討てるとでも?」
立て続けに責めるように言われ、梨花は口を閉ざす。
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