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「どこが嘘なのよ!気休めはやめてよっ!」
キッと瑠璃子は妖精達を睨んだ。
「だって嘘だと言って、て言ったから」
「「「ね───」」」
「うわぁぁぁ───んっ」
とどめを刺されて瑠璃子はとうとう泣き出した。
25年分のアイデンティティーを崩されたのだから仕方がないだろう。
「まあまあ、少し落ち着きなされ、泣いておっても仕方なかろう」
オウルは溜息を一つ零して、なだめるように瑠璃子に言った。
「そうじゃ、姿が違うのなら、あちらに湖があるゆえ、今の姿を確認してみたらどうじゃ?」
ぐずぐずといまだ泣く瑠璃子の服を引っ張り、妖精達も促す。
「カケラ様行こー」
「湖綺麗だよー」
瑠璃子は袖で顔をグイッと拭くと、
「もう、わかったから引っ張らないでよ、転ぶでしょ」
早く早くと急かす妖精達の後をついて行こうと立ち上がった。
そんな瑠璃子の頭にズシリ、と突然何かが乗った。
「……あの、オウルさん?ちょっと重いんですけど…なんで人の頭の上に乗ってるんですか?」
「わしは年寄りでのう、最近は飛ぶことも疲れるんじゃ、年寄りは労らんとのう」
ふぉっふぉっふぉっ、と瑠璃子の頭上で笑うオウルに、瑠璃子は言っても無駄らしいことを悟る。
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