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ムムムゥ、と妖精達を怯えさせた自覚のあるルリは、反論出来ずに唸る。
「さて、それでは濡れた体を温められる所に案内してやるかのう、ついてくるがよい」
オウルはバサリッ、と翼を広げた。
水濡れの状態を思い出してしまえば、いつまでもそのままでいるわけにはいかない。
ルリはその言葉に甘えて、大人しくついて行くことにした。
「あ、そういえば、さっき湖の中で大きな樹があったのを見たんだけど」
ふと、移動中ルリは先程湖の中で見た樹を思い出し、前を飛ぶオウルに尋ねた。
「おお、それはあれじゃな、お主が見たのは世界樹じゃよ」
「……は、世界樹?」
幾度も話題に出てきたその存在について、オウルは何でもないことのようにあっさりとルリへ告げた。
「そういえば話しておらんかったな。此処は『祝福の森』と呼ばれる森の奥、世界樹の結界によって守られた場所じゃ。此処に入れる者は一部を除き、わしら妖精族と精霊、カケラを宿す者、つまりお主じゃな、あとは世界樹により認められた者のみじゃ」
だから危険はないぞ、と言うオウルに続き、妖精達も話し出す。
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