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──夕方16時10分
うぅ……。
顔がめちゃくちゃ痛い。
眠っていたような感覚から覚めていき、最初に俺は顔の痛みを訴えた。
「痛っ!?」
直後、今までの痛みとは別の激痛が俺の顔を襲った。
なんか、薬でも塗られたような痛み。
「ほらっ動くな!目に入って失明しても知らないよ?」
可愛らしい声が聞こえたと思って目を開けると、そこには俺の顔に右ストレートを食らわせた張本人がいた。
顔と声は超美人なのに性格はそこら辺の不良よりも酷いが、何だかんだで小学校1年の時からの幼なじみ。
「おい、百合。殴られた挙げ句、失明したら流石に笑えないんだけど」
柳 百合(やなぎ ゆり)
成績優秀。テニス部でも関東大会出場という好成績。
人望も厚く、性格を除けばどこをどう見ても超が付く美人。
茶髪のロングヘアで前に垂れた2本の髪は、毛先がロールしてる。
百合の特徴であるサイドポニー(左側)は自身でも気に入っているらしい。
縛ってるゴムは可愛らしい蛙さん。蛙が好きなのか?
街中を歩くと男性誰もが振り返るという噂は間違ってないと思う。
そんな百合に顔面殴られて薬を塗らされている俺は街中で会ったとしても絶対振り向かないけど。
「何か思った?」
「ちょ……やめっ、目に薬入るから!いやマジで!?」
コイツ、いつの間に読心術なんか修得してんだ。
これでは心の中でも抵抗が……ちきしょう。
「はい、完了!右の瞼が少し腫れてるだけだから2、3日もすれば元に戻るわ」
「医者っぽい事言ってるけど、理不尽に全治2、3日の怪我負わせたのお前だからな?」
はぁ……。疲れた。
今思ったけど、ここ保健室か。
まぁ、コイツが常備医療品持ってるとは思えないし。それもそうか。
さて、無駄な時間を使っちまったけど帰ろう。
百合といると、命がいくつあっても足りない。
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