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池上 龍希(いけがみ たつき)
現、サッカー部部長で俺とは中学からの親友。
同じ高2のはずなのに龍希はサッカー部の部長をやっていて俺は帰宅部。全くもって虚しい。
しかも龍希は俗に言うイケメン。
顔、体格、サッカーの実力、全てにおいて負けてる。
かろうじて勝っているのは身長くらい。ミリ単位だけど。
そして、とどめの彼女さん。
会ったは事ないけど百合に負けないぐらいの美人さんらしい。
「どうしたんだよ?急に固まって」
お前との優劣を想像で見ていたなんて口が裂けても言えない。
勝ってたの身長だけだし。
「別に。じゃ、これから用事あるからまたな」
その場から全力で逃げる。
とてつもなく嫌な予感がした。
「柳とデートだろ?ヤるなら家でしろよー!」
──ズシャァアッ!
予想的中。そして2回目のヘッドスライディング。
今日あと何回顔に傷が増えるんだろう。
今のは自分で転んだんだけどさ。
「だから、付き合ってないっつってんだろ!!」
「あぁ、ゴムもしっかり付けないとだな。悪い悪い」
「話が噛み合ってねぇ!?」
グラウンドの方から複数の笑い声が聞こえる。
くそっ、サッカー部の休憩時間か!なんて運が悪いんだ。その前にコイツがわざとでかい声を出したのが原因だけど、もうそんな事はどうでもいい。
早くこの恥ずかしい空気から逃げないと。
「あれ、柳は?さっきまで校門辺りにいなかったか?」
「えっ?……あれ?百合っ!?」
よくみると、さっきまで校門から叫んだり手を振ったりしていた百合の姿が消えていた。
まさか……。向こうまで龍希の声が聞こえたなんて事はないよな。
「ほらっ!早く行ってやれよ、愛しの柳が待ってるぞ!」
もう一回校門を確認してみるが、いない。
うん、遅くなって先に行っただけだ。そう信じよう。
「龍希っ!てめぇ、後で覚えてろ!」
「おうっ、報告楽しみにしてるぞ!」
まだ転んだままの状態だった身体を起こして、俺はこれまでに出したことがない全力疾走で校門に向かった。
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