第1話 約束

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行動を起こした後に言うのもなんだが、少し強引すぎたか。 けど、これから買い物に行くっぽいし、多少は強引にしても仲直りしないと楽しいものも楽しくなくなる。 「百合……。頼むから真面目に聞──!?」 一瞬、時が止まった気がした。 ──何が起きた? 未だに状況が理解出来ない。 肩を掴んで、顔を向かせた。 謝って誤解解いて、仲直りしようと考えていたのに……。 「……!」 百合の唇が俺の唇に当たって──。 嘘だろ。 ──キス? 俺と、百合が? イケメンでもない、これと言った特徴も無い平凡な俺と? 絶対にあり得ない。 けど、これは……。 「……ばか」 数秒がとても長く感じた。 まだ現状を受け入れる事が出来ない俺がいる。 「……なっ」 キスの後に出す言葉じゃないけど、それしか出なかった。 「な、何か言いなさいよっ!は、初だったんだからっ!」 ──初!? 百合ならもうとっくにって思った。 「何かって言われても……。俺も初めてで何言っていいか」 「知ってるわよ、そんな事」 これはこれで傷つく。 でも、さっきの唇の感触が頭から離れなくて、そんな事はどうでもよかった。 「さっきの龍希との会話──」 「どうせ、たっつーが勝手に言ったんでしょ?分かってるわよそんな事」 「えっ!?」 開いた口が塞がらない、とはこういうことなのか。初めて体感した。 百合は全て知ってた上であんな態度をとっていたってことか? それって……。 「真剣な俺を見て、からかったって事?」 「いきなり肩を掴まれたのには驚いたけどね。意外と蓮も強引な事するんだねー、うふふっ」 今まで見たことがないくらいの最高の笑顔で百合に笑われた。 「ふっ、あはははっ!完全にやられた」 俺も笑い返してやった。さっきまでの俺は何だったんだろう、そんな考えも忘れ、笑った。
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