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行動を起こした後に言うのもなんだが、少し強引すぎたか。
けど、これから買い物に行くっぽいし、多少は強引にしても仲直りしないと楽しいものも楽しくなくなる。
「百合……。頼むから真面目に聞──!?」
一瞬、時が止まった気がした。
──何が起きた?
未だに状況が理解出来ない。
肩を掴んで、顔を向かせた。
謝って誤解解いて、仲直りしようと考えていたのに……。
「……!」
百合の唇が俺の唇に当たって──。
嘘だろ。
──キス?
俺と、百合が?
イケメンでもない、これと言った特徴も無い平凡な俺と?
絶対にあり得ない。
けど、これは……。
「……ばか」
数秒がとても長く感じた。
まだ現状を受け入れる事が出来ない俺がいる。
「……なっ」
キスの後に出す言葉じゃないけど、それしか出なかった。
「な、何か言いなさいよっ!は、初だったんだからっ!」
──初!?
百合ならもうとっくにって思った。
「何かって言われても……。俺も初めてで何言っていいか」
「知ってるわよ、そんな事」
これはこれで傷つく。
でも、さっきの唇の感触が頭から離れなくて、そんな事はどうでもよかった。
「さっきの龍希との会話──」
「どうせ、たっつーが勝手に言ったんでしょ?分かってるわよそんな事」
「えっ!?」
開いた口が塞がらない、とはこういうことなのか。初めて体感した。
百合は全て知ってた上であんな態度をとっていたってことか?
それって……。
「真剣な俺を見て、からかったって事?」
「いきなり肩を掴まれたのには驚いたけどね。意外と蓮も強引な事するんだねー、うふふっ」
今まで見たことがないくらいの最高の笑顔で百合に笑われた。
「ふっ、あはははっ!完全にやられた」
俺も笑い返してやった。さっきまでの俺は何だったんだろう、そんな考えも忘れ、笑った。
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