合宿『二日目』

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オリエンテーション1日目は、ホテルに着いてからはホテル内だけなら自由行動なのだが、外には出れない。それはもう時間も無いし、その日の行事がぎっしり詰まっており自由行動する暇がないのだ。 それにくらべて今日、オリエンテーション2日目は朝の7時からの朝食後から昼の12時30分の昼食まで。12時30分から夜の7時まで自由な行動が許されている。外に遊びに行こうが、ホテルでワイワイ遊ぼうが生徒の勝手。 だが、人様に迷惑を掛けるべからず。という訳だ。他人に迷惑を掛ける事以外は大抵の事は許されている。そんな事で僕は朝食を終えて仁科と部屋にいた。 「よし、仁科。これから外へ遊びに行こう。」 「………いや、俺はパスで頼む。」 「……………。」 「ちょっと朝飯食った辺りから腹が痛くてな。今日の朝はゆっくり便所で休憩しとくよ。」 ………便所で休憩って。それは休憩と言えるのか。多分だが、昨日の夜のご飯が効いたんだろ。二人分も豪快に食らうから腹を壊すんだと思う。とは言え、僕のせいでもあるんだけど。 朝はどうしたんだ、と思うかもしれないが今日の朝食はバイキング型式なのだ。つまり、食べれる分だけを取り、嫌いなものはスルー出来る訳だ。今日の僕の朝食はパンにソーセージだけ。それとケチャップを少々。 僕と仁科が朝食をとっているとき、萩嘉と浅倉さんはどこにもいなかった。まだ起きていないか、もう朝食を済まして外へ出掛けているかだ。 「分かった。なら、朝は僕一人で行ってくるよ。いい場所があったら教えてやるからな。」 「ああ、頼むよ。昼からは行けるように格闘してくるぜ。へへっ、己の魂とな。」 僕はベットから立ち上がり、ドアへと歩き、ドアノブに握る。後ろでは仁科はベットにうつ伏せになり、弱々しく、貧弱な声で格好付ける。僕は部屋を出る前に仁科に一言言う。 「おい、仁科。魂との戦いじゃなく、便との戦いだ。」 僕は主人公の如く、格好付けてセリフを吐き、部屋を出る。
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