暴走する軍産企業

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シン、と静まり返ってしまった部屋を見渡し、クドラクは和菓子の若鮎を右手で掴み、結露している湯呑みを啜った。 「えろうすいませんでしたァッ!この不始末ッ、あっしが責任を持って……ッ!」 八十神はそう土下座し、素早く机に刺さったドスを抜き、左手をバンと机にたたき付け、ドスを振りかざした。 「や--」 「よしな八十神ィッ!」 クドラクが制止するより早く、門脇が俯きながら声を張り上げる。 すると、八十神はピタリと刃を小指の根元に突き刺さる寸前に止める。 門脇は続けた。 「指詰めて何が変わるんじゃ……ワシらがこン場で筋ィ……通すにはな……ワシが頭下げて、再び里ン役立つよう尽力する事じゃ……親父の意思、ワシらが継ぐゆうて誓い立てたじゃろ……ドス仕舞えや……八十神……」
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