猛者

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大正浪漫の塊のような部屋で、人里自警軍の将校礼服に身を包む、中年だが、ガッシリした体を持つ男が、書類にペンを走らせていた。 単純な書類仕事だが、作戦会議等に必要となる重要な書類だ。 「……BSⅣ号戦車強化願い………構わん、辻に負けては死んでも死に切れん」 男、三善徹雄准将は、ロクに目も通さずに、サインをし続けていた。 30分程で、三善は全ての書類に目を通し、サインを済ませたり、ハンコを押したりといった書類仕事を終わらせ、手紙を書き始めた。 宛先は、人里の軍事関連全てを賄う、総合軍事企業、H・A社の社長、ヘクマト・ミラーだ。 内容は、簡単に説明すると、非公開、つまり、企業秘密の戦闘車両や大型兵器を公開、量産して欲しい、という内容だ。 クーデター軍の戦力を考えれば、人里の全戦力など、話にならない。 いかにワンマン・アーミーが居ようが、兵隊の頭数は約350人だからだ。
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